メタクリラジオ第9回は、オカルト、詐欺、宗教という一見クリエイティブと縁遠い領域を「横から見る」ことで、創造性の起こりに迫った回だった。詐欺の手口も陰謀論もガバガバな論理なのに、一定の人は信じる。メタ思考が強いタムカイとOpiは、そんなふうにガン決まりで信じることができない。けれど突き詰めれば「無宗教である」も宗教で、資本主義も宗教で、ならば自分たちが信じている「ないところから生まれた現象が良くね」も宗教ではないか。創造性を神とする「創造教」の狂信者としての自覚に行き着く回だ。
この回の核心
信じることは、信じている本人には見えにくい。金本位制が廃止された後の資本主義は、みんなが信じるから成立している。ビットコインは分配された神だ。そう並べていくと、創造という現象を尊ぶ自分たちの姿勢も同じ構造に見えてくる。「我々ちょっとやばいね、狂信者の嫌いがあるね」という自覚がここで生まれる。Opiは「僕もタムカイさんもメタ思考が強いから、ガン決まりになれないわけじゃないですか」と言い、「幸せだけを考えると、ああいう風に何かを信じれるっていいよなって、ちょっと羨ましくなる時もある」と続けた。信じられない者が、それでも何かを信じている。その矛盾を引き受けたところに、二人の創造の作法がある。
話の流れ
始まりはOpiの「オカルトの話したいですよ」だった。Opiの本棚には陰謀論コーナーと詐欺コーナーがあり、『スティング』や『ペーパームーン』のような詐欺映画が好きだと気づいてしまったという。フットインザドアやサンクコストなど、詐欺の手口と営業本の理論的背景はほぼ一緒で、そこに「すげえクリエイティビティがやってる」と感心してしまう。タムカイは『ナニワ金融道』と『闇金ウシジマくん』を挙げ、いざという時の思考停止を先に勉強しておく本だと語った。ネイキッド時代には都市伝説のDVD制作を手伝い、会議室で真面目にブレストする「オカルトアイデアソン」を経験して、出てくるのは放送禁止ばかりだったという話も出た。
話は仕事の作法へ移る。Opiは「ネジの会社のVPを作るとしたら、ネジに憑依していかないといけない」と言う。タムカイは憑依の感覚がなく、AとBで分けて森に分け入り、相手が言語化できていなかったものを言語化する手伝いをする。対立ではなく相補的な二つのインタビュー哲学だ。そして知の獲得の話へ。Opiは20代後半に段ボール2杯分の本を「全部読んどいて」と渡され、苦痛な読書の先で「なんだったって瞬間」を迎え、世界の深淵に近づいた気がした。タムカイは小学校高学年でこち亀のバービー人形回に出会い、雑食のようにいろんなものを集める楽しさを先に知った。大里Pのチャットが「それは宗教的体験」と指摘し、話は宗教へ。仏教は哲学であり、東洋の関係性の哲学はネットワーク的でインターネットと相性がいい。路傍の石や鉄道ダイヤに神を見出す日本人の話を経て、この回は番組初のお便り形式にもたどり着く。「創造性ってどこから始まるんだろう」という問いへの、遠回りの答えがこの回だった。
創造性の構造 27 でいえば
16. ネガティブ・ケイパビリティ ガン決まりで信じられず、それでも否定もせずに横から見続ける態度は、答えを急がず宙づりに耐える力そのものだ。
08. アナロジー思考 詐欺と営業、資本主義と宗教、そして創造性を同じ構造で見通す視点が、この回の推進力になっている。
01. 観察と解像度 カタログスペックに出ない「絶対にゆるまない」ネジの価値や、細部に神を見出す感覚は、解像度の高い観察から生まれる。
信じられないことを引き受けたまま、それでも信じるに足るものを作る。狂信者の自覚は、そのための出発点だ。

