Experiment

メタクリチャットとは

What is MetaCreative Chat?
メタクリチャットとは

メタクリチャットは、人と人の会話に AI が「外野」から同席する、メタクリエイティブラボの実験用チャットです。AI は呼ばれて答える相手ではなく、会話を止めずに脇から気づきを差し込み、言うことが無ければ黙ります。2025 年 12 月から、タムカイと Opi が毎日の会話に使っています。公開しているサービスではなく、招待した数名だけの閉じた場です。

結論

チャットに AI を入れると、たいてい AI が主役になります。質問すれば長い答えが返り、人どうしの会話はそのたびに止まります。

メタクリチャットはこれを逆にしました。AI の発言は本文とは別の、脇の小さな欄に出ます。人の会話には割り込みません。そして AI は、何か足せるときだけ話し、足せないときは何も言いません。黙ることも、正しい答えの一つとして設計されています。

一言でいえば、「呼べば答える専門家」ではなく、「その場に居ついている観察者」を作る実験です。

なぜ作ったか

メタクリエイティブラボの活動の中心は、二人の会話です。ラジオも、記事も、会話から生まれます。その会話に AI を混ぜたらどうなるか、を試したくなりました。

ただし、AI が答えを出す道具になってしまうと、会話そのものが痩せます。欲しかったのは答えではなく、考えが動くきっかけでした。既存のチャットツールでは AI の居場所を変えられないので、2025 年 12 月に、AI の席を「外野」に固定した自前のチャットを作りました。脇に座る AI に、タムカイが「メタクリさま」と名前を付けたのは、使い始めた最初の日です。

外野にいるのが「メタクリさま」

メタクリさま。目のついた吹き出しが、脇の席から会話を見ている。
メタクリさま。目のついた吹き出しが、脇の席から会話を見ている。

姿は、目のついた吹き出しです。呼べば本文に返事をしますが、ふだんは脇の欄から会話を見ているだけで、足せることが無ければ何も言いません。

名前と姿を与えたのには理由があります。名前の無い機能が黙っていると、人は壊れたのかと考えます。「メタクリさま」と呼べる相手が脇に座っていると、同じ沈黙が「いま言うことがないのだろう」と読めるようになりました。

どういうものか

  • 本文は人の会話。 二人、ときに三人の会話が主役で、AI はここに入ってきません
  • 外野の AI。 会話を読んで、脇の欄に短いコメントを置きます。関係しそうな過去の話題、別の見方、問いの言い換えなど。足せることが無ければ何も出しません
  • 呼べば答える AI も一応いる。 名前を呼んだときだけ本文に返事をする AI と、メタクリラジオの過去回を調べて「あの回でこう話していた」と教えてくれる AI を、必要なときだけ使います
  • 会話は資産になる。 一日の会話は自動で記録され、月ごとに読み物の形にまとめ直されます。ラボの方法論「ナレッジフォージング」の素材は、主にここから出ています
画面イメージ。左が人どうしの会話、右の欄が外野の AI。会話は説明のために書き起こしたサンプルで、実際の記録ではありません。
画面イメージ。左が人どうしの会話、右の欄が外野の AI。会話は説明のために書き起こしたサンプルで、実際の記録ではありません。

使ってみて分かったこと

2025 年 12 月から 2026 年 7 月までの約半年で、会話は 149 日分、約 7,600 メッセージになりました。

  • 黙る AI は、黙り方が難しい。 AI が何も言わないとき、人には「壊れているのか、言うことが無いと判断したのか」が分かりません。黙る AI を作るなら、黙っていること自体に意味を持たせる工夫が要ります
  • 確かめずに守っていたものが、いちばん欲しかったものを消していた。 ある話題は AI の安全方針に引っかかる、という通説を信じて、その部分を AI に見せないようにしていました。実際に複数の AI で試すと、そんなことは起きませんでした。隠していた部分を戻すと、それまで出てこなかった思わぬ連想(ある回の雑談から別の回の理論への飛躍)が戻ってきました
  • 正しい AI より、ずれた AI のほうが会話を動かす。 正確に答える AI より、少し外れた連想を投げてくる AI のほうが、二人の考えを先に進めました

関連するもの

いまの状態

二人と招待した数名が使っています。一般に公開する予定はありません。ここに書いたのは、どういう考えで作り、何が分かったかという実験の記録です。


English. MetaCreative Chat is an experimental chat tool built by MetaCreative Lab in December 2025, in which an AI sits on the sidelines of a conversation between people. Instead of being summoned to answer, it comments from a separate panel only when it has something to add, and stays silent otherwise. It is private and invitation-only, used daily by Tamkai and Opi. Over roughly six months and 7,600 messages, the main lessons were that silence is hard to design, that an unverified precaution had been suppressing the very associations the tool was built for, and that a slightly off-target AI moves a conversation further than a precise one.